現役通訳ガイドのフランス留学

2007年からフランス語の通訳ガイドとして日本全国を飛び回っています。ガイド歴11年目の今年、9か月休業してフランスに留学することに決めました。せっかくなので、ガイド目線で、留学先・リヨンの学校やホームステイの様子、フランスのツーリズムの状況などを綴っていきます。日本のインバウンドに携わっている方、通訳ガイドを目指している方、フランス語を勉強している方、今さら留学(?)をお考えの方などに、ぜひ読んでもらいたいです!

リヨン美術館のツアー

美術館ツアーの話をする前に、Carte Cultureという、この優れもののカードのことを紹介しておきます。
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このカード、38ユーロで買えるのですが、これがあれば、リヨンの6つの美術館に(常設展でも特別展でも)自由に何度も入れます。1年間有効。ひとつの美術館の入場料が8ユーロくらいするので、行けば行くほどかなりお得。しかも、このカードで劇場や映画館も割引になります。
私が驚いたのは、昨日、Auditoriumという「リヨンオーケストラ」の本拠地であるコンサートホールに行って、12月のコンサートを2つ、予約してきたのですが、なんと通常34~48ユーロするコンサートが、それぞれ、たった10ユーロで購入できました。なんとミラクルなCarteなんでしょう!

で、このカードがあれば、リヨン美術館のガイドツアーにも、プラス3ユーロ払えば、参加できます。
私のホームステイ先の家は、Croix-Rousse という丘の中腹にあり、坂道を下れば、オペラ座やリヨン美術館まで5分足らず、という好立地にあります。なので、週末にふらりと行ったり、なんなら(帰り道なので)学校帰りに毎日寄ることもできるわけです(^O^)

Musée des Beaux-Arts リヨン美術館は、建物は17世紀の大修道院で、古代エジプトから近現代まで、幅広い作品を所蔵し、ヨーロッパでも最大規模の美術館と言われています。

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↑ 前庭はこんなふうに憩いの場になっています。

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↑ エントランスはこんな感じ。

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↑ 受付を済ませると、いきなりこの絵が迎えてくれます。

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↑ ↓ 館内にはチャペルを利用した展示室もあって、彫刻の展示室になっています。
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私が今回(10/14土曜日11:30~)参加したガイドツアーは、1時間で、
chefs-d'œuvre du musée 代表作品を解説つきでまわるコース。
ガイドさんによって選ぶ作品も異なるようです。

本日のガイドさんは、Anne-Eveさん。
参加者は、私を入れて6人。私以外はフランス人です。

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↑ 彼女がまず連れていってくれたのは、エジプト室。

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ここは、、↑ 先日、ちらりと美術館を下見に来た時、子供たちが授業を受けていたところです。

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Anne-Eveさんの解説は、詳しい。上手。速い。これがナチュラルなスピードなんだろうけど、外国人が混ざっていても容赦ないなー。うんうん、と(さも理解しているように)うなづいている私も悪いんだろうけど。

次に彼女が連れていってくれたのは、la Vierge マリア様の像。
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「頭にある四角い穴は、なんのためでしょう?」というAnne-Eveさんの問いかけ。bougieろうそくを置くため?と言う人あり。答えは、relique を入れるため。われわれ日本のガイドが、五重塔を説明するときに使う単語relique舎利ですね。

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↑ 次に向かったのは、14世紀の像。ガブリエルがマリアに受胎告知している場面です。
マリオネットみたいに腕が動く(aux bras articulés) ようになっています。

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↑ どんどん進んで、次に彼女が連れていってくれたのは、アールヌボーの世界。
ここでは、japonisme ジャポニズムの影響(植物の文様だとか、asymétrie な装飾)についての解説があり、解説の中に、japon やjaponismeの言葉が出てくるとなんとなく嬉しいものですね。

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↑ このステンドグラス、よく見ると、「女の一生」が描かれています!
ここで 日光東照宮の「三猿の一生」を思い出したのは、、、私だけでしょう (^-^;

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↑ Anne-Eveさんはいろいろvitraux ステンドグラス のテクニックについて話していました。

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↑ これはHector Guimardの(奥さんの)寝室です。Guimardのアールヌボーはパリのメトロの入口で有名、ということで、こんな解説書もありました。↓
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↑ その後、Anne-Eveさんが向かったのは、16世紀のイタリア画家Véronèseのこの傑作。
彼女はこの絵一枚に対して、10分以上、語っていました。すげぇ・・・

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さて最後は les Impressionnistes 印象派 ですよー。
数ある中から彼女が選んだこの絵は、私が下見の時に一番気に入っていた絵でした。

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言わずもがな、モネですね~。

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というわけで、Anne-Eveさんのガイドぶりに圧倒された1時間でした。
もちろん、彼女はこの美術館の学芸員だし、母国語で喋っているのだから、
当たり前なのかもしれないけれど、自分も日本の美術館を案内するときは、
頑張らなきゃーと思わされました。

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↑ ちょうとお昼時になったので、近くのMonop’でサンドイッチを買ってきて、美術館の前庭でランチしました。ゲートを何度も出入りしているので、荷物チェックのおじさんに顔を覚えられたはず(^-^; まだまだ通いまっせ。