現役通訳ガイドのフランス留学

2007年からフランス語の通訳ガイドとして日本全国を飛び回っています。ガイド歴11年目の今年、9か月休業してフランスに留学することに決めました。せっかくなので、ガイド目線で、留学先・リヨンの学校やホームステイの様子、フランスのツーリズムの状況などを綴っていきます。日本のインバウンドに携わっている方、通訳ガイドを目指している方、フランス語を勉強している方、今さら留学(?)をお考えの方などに、ぜひ読んでもらいたいです!

DALF C1 受験記(1)

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昨日(2018. 3.16)、DALF(いわゆるフランス語上級者試験)のC1を受けてきました。

このC1試験は、4種目から成り立っています。

1.Comprehension orale (聴解)

6分程度の音源を2回聴いて、10余りの質問に答える=長いバージョン

2分程度の音源(2種)を1回聴いて、6~7程度の質問に答える=短いバージョン

音源を聴く前に、いかに、すべての質問を素早く読んで、臨戦態勢に入るか、が一つのカギです。

 

2.Comprehension ecrite (読解)

1500~2000語のドキュメントを読んで、12ほどの質問に答える。大半が記述式。正誤問題でも、justification 根拠となる記述が求められる。

これを、50分でやります。

 

3.Production ecrite (文書作成)

2部構成。(Synthese Essai argumente)

1000語くらいから成る記事を2つ読んで、それをSynthese(=それぞれの記事の主要な点をつかんで、共通項を洗い出し、それをさらに再構築して、自分の語彙・表現力を駆使して、200~240語で要約)する。あくまで客観的に。

プラス!記事に関連したテーマが与えられるので、それに関して自分の意見を、具体例を交えながら、250語ほどのEssai argumente(問題提起を含むエッセイ)にする。

この2つの文書作成(いずれもリスペクトしなければならない「型」があります)を、2時間半でやります。

 

4.Production orale (口頭表現)

まず準備(1時間)。複数(3種類)のドキュメントが与えられるので読む。それをもとに、テーマに沿った論述のプランを練る。

その後、面接(30分):口頭発表15分 のち 質疑応答15分

 

というわけで、昨日は、この4つのカテゴリーのうち、3つまでが行われました。来週、個別に、4つめのproduction orale が行われます。

 

受験場所は、自分で選べるのですが、私は、母校の(?)アリアンスフランセーズにしました。通いなれているので、不要なプレッシャーがないからです。人によっては、リヨンカトリック大学など、大教室で受験するほうが、その他大勢と化して緊張しないとか、採点基準が甘いとか、言われますが、ま、人それぞれ。自分の選択が自分には一番イイ、と信じましょう。

実際、昨日のアリアンスのC1受験者は、たった11人でしたが、試験前に、日頃の担任の先生に出くわし、指をクロスして幸運を祈ってもらえましたし、トイレの場所も勝手知ったる、という感じで、安心感がありました(笑)。

 

私は、今回の受験にあたって、何より懸念していたのは、「時間配分(時間不足)」ということでした。

読解の練習問題では、たいてい、50分のタイムリミットが来たときに、設問の半分ほどしか解いてないような状況でしたし、

文書作成でも、家でsyntheseする場合、複数の記事の共通項をどの順番で並べるか、フレーズをどう表現するか、練れば練るほど、えらい時間が過ぎていた・・ということがほとんどでした。

なので、先生や友人にも、「私の場合、試験は、時間との闘いなんです!」と言ってきました。

ところが、実際の試験では、そこを十分警戒していたせいか、あるいは、(短かったけれど)訓練の成果なのか、はたまた、火事場のなんちゃらなのか、いずれも時間内にできました。

それは良かった。

しかし、最初のリスニングで、しくじりました~(≧∇≦)。長いバージョンのほうでは、全体の内容は理解できているのですが、似たような設問が多くて、どの設問にどの答えを当てはまればいいか、混乱してしまい、おそらく、かなりの確率で、ずれた記述をしているはずです。撃沈。短いバージョンのほうで、少しは取り返したとしても、全体的に、予想以下の出来です。

一方、読解のほうは、テーマが「多言語の絶滅危機」という、馴染みのあるテーマだったのはラッキーでした。実際、今月の学校のクラスの学習テーマが、「言語」だったので~。論旨がわかりやすかったので、設問にも適切に答える余裕があったと思います。

文書作成のほうのテーマは、「フランス語の綴りにおける問題」でした。synthese(要約)は、習得中のテクニックを使って、そこそこ点数の取れる文書にできたと思います。essai argumente(エッセイ)のほうは、時間を気にして、プランをしっかり練らないまま書き始めたので、それなりに形にしたものの、argumentsが足りなかったな、と反省しています。字数も数えていないし、減点対象がいくつかあると思われます。

 

ということで、一次は、聴解で撃沈して、読解と文書作成で再浮上した、という感じです。実は、不本意にも、フランスに来て急に、自分の眼が老眼化したため(-_-;)、細かい字が読みづらく、読解が苦手になっていたので、昨日の読解ができたのは救いでした。このへんは、若い人達には理解してもらえないハンディキャップですが、その分、人生経験ではアドバンテージがあるので、プラマイ0 と思いたいです(*^▽^*)

 

まだproduction oraleが残っているのですが、3種目終えた時点で、なんか試験から解放された気分です。いかん、いかん。

フィギュアスケートにたとえると、ショートが終わって、なんとかメダル圏内(つまり合格圏内)にとどまり、フリーに望みをつなげることができたところ。

来週のフリーでは、大きなミスを避けながらも、いかに観衆(試験官)を魅了し、自分のできうる最良のパフォーマンスにもっていくか、になります。

できることなら、フリーで、羽生君のような、強い精神力をもって、自分自身が納得のいく結果を出したいです。