現役通訳ガイドのフランス留学

2007年からフランス語の通訳ガイドとして日本全国を飛び回っています。ガイド歴11年目の今年、9か月休業してフランスに留学することに決めました。せっかくなので、ガイド目線で、留学先・リヨンの学校やホームステイの様子、フランスのツーリズムの状況などを綴っていきます。日本のインバウンドに携わっている方、通訳ガイドを目指している方、フランス語を勉強している方、今さら留学(?)をお考えの方などに、ぜひ読んでもらいたいです!

DALF C1 受験記(2)

前回(DALF C1 受験記(1))の続報です。

先週(2018.3.21)、2次のproduction orale(口頭表現) を受けてきました。

 

実はこうやってブログに書けるのも、怒り(?)がやっと収まってきたからでもあります。

私の試験開始時間(注:集合時間ではありません)は、8時に設定されていました。朝早い。突然メトロやトラムがとまるリヨン。リスクがおおいにあるので、最悪、歩いても間に合うように(歩くと50分かかる(-_-;)、

7時前に家を出たところ、意外にちゃんとトラムが来て、スムーズに学校に到着。しかし、7時25分。逆に早すぎた。門が閉まっている。しょうがない。この日は寒くて、風が強かった。しょうがないので、カフェまで歩いて、紅茶を飲んで時間をつぶしました。さすがに15分前には門も空いているだろうと思って、7時45分に行ってみた。がーん。門が閉まっている。

うそやろ~。DALFは、オフィシャルな試験だぞ~。

門のブザーを鳴らしても、学校の周りをぐるりと回って、ほかの扉が開いていないか探しても、ダメ。どうなってるんだ~。寒いよ~。

ひょっとして、私が時間を間違えたのか、いや、そんなことはない。

寒い~。すると5分前になって、女の先生が道の向こうから歩いてきて、続いて、もう一人女の先生が歩いてきた。

2人に、試験開始が8時なのに、なんで~?と問い詰めると、

2人とも、焦った様子で、しかも、どちらもカギを持っていない、という。えっ~。2人が互いを責めあっている。私は、この寒い中、30分も待っていること、このオーガニゼーションの悪さが信じられないことを、2人に訴えると、

ひとりは「大丈夫。私が(production orale の準備60分を監視する)試験官だから。」と言う。そういう問題じゃないんだが・・・。じゃあ、もう一人(知らない先生だったので)は誰なんだ?と思ったら、「私が(prodution orale の)面接官だ」と言う。はぁ。そう言われると、あんまり悪態をつくこともできず・・・3人で門の前でやきもきしていたら、

8時になって、掃除のおじさんが門を開けた。なんだ、やっぱり中に人はいたのか。2人の先生が、おじさんを責めている。おじさんは何も聞いてない、と言う。もう、連絡していないのが誰のせいか知らんが、私は、トイレに直行。(だってカフェで飲みたくない紅茶を飲んだんだもん)

トイレから出ると、掃除のおじさんが、自分は悪くないとばかりに、8時を指している自分の腕時計を見せてくる。8時に門を開けたから、いいだろ?と。はぁ?8時は試験開始時間なんですが?ま、このおじさんに何を言っても無駄なので、試験室へ行く。そうすると、まだコートを脱いでいる段階から、さっきの先生が試験用紙を配り、説明を始める。おかしい。そちらの不手際なんだから、試験開始を8時15分とか、せめて10分から、とかにするべきでは?先生は、用紙を配りながら、「寒かったでしょう。暖かいコーヒーか紅茶をもってくるから、暖まって」と言う。「いえ、さっき、待っている間に紅茶を飲んだので、(これ以上飲むと、またトイレがヤバい)結構です。どうぞ先生だけお好きにお飲みください。」腹が立っているのだけど、そんな風に言われると、ちゃんと返さなくてはいけない(大人だから)。先生は「申し訳ない」というので「あなたのせいじゃない」と答える。いい人~、というより、とにかく、私は、少しでも早く、テキストを読みたいのだ。だって、口頭発表の準備60分の間に、提示された2種類のテーマから1つ選んで、そのテーマに関するテキストを2つ読まなければならない。読んで、それを参考文献として、今度は自分のexpose(口頭発表)のために、序論と本論のプランと結論を考えなければならない。とりわけ、いかにプランを構築するかがカギなので、時間との勝負なのです。1分でも惜しい。1分でも早くとりかかりたいのに、なんで、こんなコンディションなの? ここで自分自身をコントロールしないと、めちゃくちゃ損なだけなので、私はとにかく自分に「落ち着け。落ち着け。」と言い聞かせ、テキストを読み始めました。しかし、先生はなんだか気にして話かけてくるし、正直、最初の5分くらいは、集中できませんでした。

で、イントロ部分はすごい勢いで作って、プランは非常に立てにくいテーマでしたが、なんとか立てて、結論部分を考えていた時に、先生が来て、「1時間経ったから、面接室のほうへ移りましょう」と言ってきた。むかっ。なんで? 9時5分やん。開始したのは8時8分。この状況で早めに切り上げるなんて、ありえない。私は断固として抵抗し、「しっかり1時間とるのが、スジというものと違いますか?!」と訴えた。その凄まじい抵抗ぶりに、先生も納得して、3分後に準備終了となった。

面接室(口頭発表を行う教室)に行くと、さっきの(もう一人の女の)先生と、男の先生(この先生は知っている)が、並んでいました。「大丈夫ですか?」とか言われたような気がするけれど、この場におよんで、あーだこーだ言っても見苦しいので、もうここからは笑顔とばかりに、「大丈夫です。準備OKです。」とニッコリ応えました。

だって、面接だもの。入室したときから面接は始まっている、っていうのが、ずっと昔から、就活の面接や、その他公的な面接試験で守ってきた鉄則。

というわけで、まずは口頭発表。これまでは10分~15分という時間設定だったのに、なぜか今回の試験から、8分~10分 という制限時間に変更になっていた!私はどちらかというと15分を超えてしゃべってしまう傾向があったので、前日までは13分くらい話すのをメドにしていた。そんなわけで、さらに短めを意識。結局、何分しゃべったかわからないけど、これで逆に8分を切っていたら、悲しい。

発表が終わると、この発表に関する質疑応答。この時間が例年よりも逆に長かった。2人から、結構、質問攻め。この会話を楽しむ感じが好きなので、いくら続いてもいいのだけど、男性面接官のほうは(いつもは感じがいいのに)、なかなか厳しい感じでした。ただ、そういう役割を演じていらっしゃるのだろうと思ったので、別にひるむ必要はなく、まずは質問を笑顔で受け止めて、「おっしゃる通りです。でも・・・」と反論(あるいは説明)する(のが定石です)。

 

というわけで、2次試験が終わりました。

日本では絶対ありえないような事態(日本だったら、30分前には当然会場の門は空いているでしょうし、5分前に試験官がくることもないでしょう)に、ほんまにこの国は~!という気持ちはぬぐえません。これが普通の授業だったり、学校内の試験だったら、まだわかりますよ~。でも世界で実施されいる、国が認定するオフィシャルな試験ですから。

しかも、リヨンで数ある試験会場から、せっかく、信頼して、わがアリアンスフランセーズを選んだのに~。

この学校はいい先生も多いし、好きなのですが、オーガニゼーションの悪さは、今回だけでなく、この試験に向けてお願いした(たった)5回の個人レッスンでさえ、(1月の初旬の時点で、2月にレッスンをお願いしていたのに、結局、3月の試験直前までスケジュールが決まらず、試験直前にまとめて入れられて、消化不良~)あまりのひどさに、スケジューラに本気で怒った、といういきさつがあります。そんないきさつを許し、乗り越えて迎えた本番が、まさかのこれでした~。